カプセル内視鏡と小腸の病気 専門医へのインタビュー カプセル内視鏡と小腸の病気


藤森 俊二 先生
藤森 俊二 先生
日本医科大学千葉北総病院 消化器内科 部長/教授

■ 専門分野:
下部消化管で炎症性腸疾患の治療、大腸腫瘍の疫学、
最近ではカプセル内視鏡を用いた研究に従事している。

お名前とお勤めの病院名を教えていただけますか。

藤森俊二です。千葉県印西市の日本医科大学千葉北総病院 消化器内科です。

今まで日本医科大学病院で藤森先生がされたカプセル内視鏡検査の経験数はどのくらいですか?

私は平成17年からおよそ1000回の検査を行いました。
(平成19年4月に薬事認可されるまでの期間は自主研究です。)

カプセル内視鏡の検査を受けた患者さんはカプセル内視鏡にどんな印象を持ちますか?

検査があまりに楽なのと科学の進歩に、多くの方がびっくりしてますね。もう一度受けたいという人までいます(笑)。

藤森先生はカプセル内視鏡を初めて見たときどう思いましたか?

これは消化器内科医にとって夢の道具だと思いました。まるで映画の“ミクロの決死圏”の映像のように腸の中を見ることができるのですから。実際使ってみてもすごいと思いました。

カプセル内視鏡検査で一番良いことと一番困ることを教えてください。

一番良いのはとにかく小腸という最も検査の困難な消化管を、患者さんのみならず、医師もたいへん楽に検査できるということです。患者さんが楽なのは大変素晴らしいことです。
われわれ医師は、胃カメラのような通常内視鏡検査では常に患者さんの状態を気にかけながら画像を見る必要があるのですが、カプセル内視鏡では検査が終了しているので思いきり興味深く内視鏡画像を見ることができて嬉しいです。もっとも、忙しい時には解析に時間がかかることに困ることがあって、それが一番困ることでもあるのですが。
患者さんで困ることとしてはトイレで使用済みカプセルを取り出すのが嫌みたいです。私としては、ぜひ取り出して洗って記念にとっておいてもらいたいです(笑)。

小腸の病気は自分で気づけるものなのですか?

おなかが痛くなっても小腸だと自分で特定するのはまず無理です。だからいろいろ検査をして確かめるのです。

カプセル内視鏡ができないことってあるのですか?

「生検」といって組織の一部を取ってきて細かく検査することや、治療ができません。

ほかにも何かデメリットのようなものはあるのですか?

カプセルが腸の狭い所に詰まってしまうことがあり「滞留」と呼ばれています。小腸鏡という内視鏡で取り出せることもありますが、手術で取り出すしかない場合があります。ただ欧米では、詰まってしまうのはそこに病気があるからで、病気の場所がわかって良かった、手術で病気ごと取り出せばOK……とする考えが多いようです。

カプセル内視鏡に今後期待することは何ですか?

カプセル内視鏡が、自由に動かせて治療ができたり、一度に食道から大腸まで検査できるようなカプセル内視鏡ができるとすばらしいと思います。