腸に関するレポート
増加傾向にある大腸がんの今
大腸がんはあなたの身近にある病気です
あなたの家族や親戚に「がん」の人はいますか?対象を友人や知人まで広げると、思い浮かぶ顔は1人や2人ではないのではないでしょうか。
それもそのはず。1981年以来、心臓病と脳卒中を抑えて、日本人の死因第1位は「がん」なのです。生涯で男性の2人に1人、女性の3人に1人がかかる可能性があるというデータもあり、今や決して他人事の病気ではありません。
がんの中でも、大腸がんは、1970年代後半から増加の一途をたどり、近年は年間約14万人※がかかっていることはあまり知られていません(図1)。
それもそのはず。1981年以来、心臓病と脳卒中を抑えて、日本人の死因第1位は「がん」なのです。生涯で男性の2人に1人、女性の3人に1人がかかる可能性があるというデータもあり、今や決して他人事の病気ではありません。
がんの中でも、大腸がんは、1970年代後半から増加の一途をたどり、近年は年間約14万人※がかかっていることはあまり知られていません(図1)。
※(2015年死亡数、罹患数、年齢調整死亡率(人口10万対)及び年齢調整罹患率 全国がん罹患モニタリング集計より)
図1 部位別がん罹患数年次推移
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん登録)
図2 部位別がん死亡数年次推移
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(人口動態統計)
罹患数の増加に比例するように、大腸がんの死亡者数は、この30年でおよそ2倍にも増えています(図2)。
図3 大腸がん都道府県別死亡率(2019年)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(人口動態統計)
2019年の都道府県別の大腸がん死亡率調査では、青森、岩手、沖縄の死亡率が突出して高いことがわかります(図3)。
図4 部位別がん死亡数(2019年)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(人口動態統計)
2019年の調査結果では、男性では肺がん、胃がんに次いでがん死亡原因の第3位に、そして驚くべきことに、大腸がんは女性のがん死亡原因の第1位になっているのです。これは、”女性のがん”として広く認知されている乳がんの約1.6倍、子宮がんの約3.5倍に上ります。(図4)
図5 部位別5年相対生存率(主要部位) 2009-2011年診断例
出典:全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)
独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(人口動態統計)
※22府県( 宮城県,山形県,福島県,茨城県,栃木県,群馬県,新潟県,福井県,山梨県,長野県,愛知県,滋賀県,大阪府,和歌山県,鳥取県,島根県,広島県,山口県,高知県,佐賀県,長崎県,熊本県)のデータをもとに算出されています。
独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(人口動態統計)
※22府県( 宮城県,山形県,福島県,茨城県,栃木県,群馬県,新潟県,福井県,山梨県,長野県,愛知県,滋賀県,大阪府,和歌山県,鳥取県,島根県,広島県,山口県,高知県,佐賀県,長崎県,熊本県)のデータをもとに算出されています。
しかし、大腸がんで死亡する人の割合は、性別や年齢によって多少の差はあるものの、罹患者の約3割と言われており、他のがんに比べても比較的生存率が高く(図5)、“治せるがん”とされています。では、なぜ、患者数が増加し続けているのでしょうか?
大腸がん増加の一因は生活習慣の変化にあり。
まず、大腸がんは、他のがんと同様に、遺伝子の異常が重なることによって発生します。一般的な大腸ポリープ(線腫)ががん化するルートと、線腫を介さず粘膜から直接発生するルートがあると考えられています。肝心の、“なぜ遺伝子が異常をきたすのか”、つまり大腸がんの原因についてはまだ解明されていませんが、大腸がんが増加し続けているこの30年で大きく変わった食習慣が影響を及ぼすことがわかってきています。
国立がん研究センターの調査によると、食生活の欧米化(赤肉=牛・豚などをたくさん食べる食生活)が発症リスクを高めると報告されています。世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による報告書「食物・栄養・身体活動とがん予防」では、赤肉の摂取を週に500g未満とするのが望ましいとされています。その他、国立がん研究センター「日本人のためのがん予防法」によると、喫煙や飲酒、運動不足といった生活習慣も発症リスクを高めるとされています。
また、他のがん同様、遺伝も大腸がん発症の要因のひとつに挙げられています。家族性大腸線腫症(家族性大腸ポリポーシス)と遺伝性非ポリポーシス大腸がん(リンチ症候群)の家族歴は、がんの発症リスクが高まるとされています。
国立がん研究センターの調査によると、食生活の欧米化(赤肉=牛・豚などをたくさん食べる食生活)が発症リスクを高めると報告されています。世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による報告書「食物・栄養・身体活動とがん予防」では、赤肉の摂取を週に500g未満とするのが望ましいとされています。その他、国立がん研究センター「日本人のためのがん予防法」によると、喫煙や飲酒、運動不足といった生活習慣も発症リスクを高めるとされています。
また、他のがん同様、遺伝も大腸がん発症の要因のひとつに挙げられています。家族性大腸線腫症(家族性大腸ポリポーシス)と遺伝性非ポリポーシス大腸がん(リンチ症候群)の家族歴は、がんの発症リスクが高まるとされています。
早期発見こそがリスク回避に
大腸がんは早期発見できれば、治癒の可能性が高いがんの一つと言われています(図6)。しかし、残念なことに、初期の段階では自覚症状はあまりみられません。ですから自覚症状はなくても定期的に検診を行い、早期にがんを発見しようとすることが不可欠です。
図6 全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における5年生存率(2010~2012年診断例)男女計
資料:全国がんセンター協議会「全がん協加盟施設の生存率協同調査」から作成
大腸がん検診の第一段階である便潜血検査で陽性と出た場合は、精密検査を受けることになります。2019年に厚生労働省が実施した「国民生活基礎調査」によると、大腸がん検診(便潜血反応検査)受診率は、男性47.8%、女性40.9%。近年、要精密検査となった人のうち、実際の精密検査受診者はおよそ半数というデータもあり、精密検査受診率が低いことも、がんの早期発見における問題点となっています。
精密検査が必要といわれた場合、自覚症状などがなくても、大腸がんの早期発見のためになるべく早く精密検査を受けましょう。
精密検査が必要といわれた場合、自覚症状などがなくても、大腸がんの早期発見のためになるべく早く精密検査を受けましょう。