大腸カプセル内視鏡編 その2 専門医へのインタビュー 大腸カプセル内視鏡編 その2


腸に関する病気やその治療法や検査法について、専門の先生にお伺いしました。
斎藤 豊 先生
斎藤 豊 先生
国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 内視鏡センター長、内視鏡科 科長

■ 専門分野:
消化器内視鏡診断・治療。特に大腸早期がんの拡大診断・ESD 治療

検査にはどれくらい時間がかかるのでしょうか?

カプセルが排出された時点、あるいは内視鏡内の撮影用バッテリーが切れた時点で検査は終了です。排出までの時間は年齢などによって異なりますがおおよそ4~6時間、バッテリーが切れるまでは約10時間かかります。検査の結果は後日、ご本人にお伝えします。

検査にはリスクはないのでしょうか?

痛みが出ることはなく、通常、痛みを伴うことは有りません。またCTで腸の様子を調べる方法もありますが、CTとは違ってカプセル内視鏡では放射線被ばくの危険がなくなります。検査リスクとしては、きわめて稀ですが、カプセルが消化管内に留まってしまう可能性などがあげられます。

飲んだカプセルは最終的にどうなるのでしょうか?

撮影したデータは記録装置に転送されていますので、カプセルはそのまま使い捨てになります。ただ、回収と破棄は自治体や施設のルールにしたがって行う必要があります。詳細は、検査時に配布されるカプセル回収キットに記載されています。

途中で詰まったり、出てこないことはあるのでしょうか?

国内で行われた治験の結果からは、カプセルが消化管の途中で詰まり長期にわたり動かなくなった例はみられていません。一定時間内にカプセルが排出されない場合がありますが、繊維質が豊富な固形食を摂ることで解消できています。万一カプセルが途中で詰まってしまった場合は内視鏡などでカプセルを回収したり、外科手術が必要になる場合がありますが、そういった頻度はきわめて稀です。

何か見つかったときはどうなるのでしょうか?

大腸カプセル内視鏡には、従来の方法のように組織を採取する、病変を切除するといった機能はなく、診断の確定や治療には大腸内視鏡検査が必要です。最近は技術が進歩していますので、専門の技術がしっかりした内視鏡医が行えば、安全に、楽に検査が可能な時代となっていますのでご安心下さい。

何もなければもう検診を受けなくてもいいのでしょうか?

何もなくても検診は年に1回は受けるのが理想です。わが国では一次検査、精密検査とも受診率は思わしくなく、背景にはこれまでの検査法への不安があると思われます。こうした問題を解決し、大腸がん検診をより広めていくことが重要で、大腸カプセル内視鏡はそのきっかけの一つになるかもしれません。