クローン病用語集
クローン病の診療で使用されることがある用語を掲載しています。
アフタ
腸の粘膜にできる口内炎のような浅い潰瘍。
依存性
ある薬剤の投与量を減量していくと再燃する傾向があることで、難治性を示す言葉のひとつ。「ステロイド依存性」などという表現で使われる。
イレウス(腸閉塞)
狭窄などにより、腸の通過性が滞ること。お腹が張ったり、嘔吐、便秘、腹痛(差込み)などの症状が現れる。
インターロイキン
白血球の中にあるリンパ球、単球、マクロファージなど免疫担当細胞が産生する生物活性物質の総称。
回盲部
小腸と大腸の境い目の回盲弁を中心とした周囲の領域。回腸終末部、回盲弁、盲腸、虫垂、上行結腸の一部で構成される。
潰瘍
皮膚・腸の粘膜において、上皮組織の部分的欠損が深部に及んでいるもの。
外ろう(ガイロウ)
ろう孔のうち、体表に通じたもの。
寛解
治療によって症状が軽減・消失し、検査データが正常範囲にあるなど病状が落ち着いている状態。治癒とは異なる。
狭窄(キョウサク)
腸の内腔が狭くなること。
コブルストーン
潰瘍と残った粘膜の浮腫によって、全体が丸い石を敷き詰めたようにデコボコに見える所見。敷石像と言う。
サイトカイン
免疫反応で細胞から分泌されるたんぱく質。IL-6やTNF-αなど炎症性サイトカインがクローン病に関与しており、治療法に結びついている。
再燃
炎症などがなくなり、病勢が落ち着いて寛解状態だったものが、炎症がぶり返し症状が悪化した状態。
縦走潰瘍
腸の長軸(縦)方向にできた縦長の潰瘍のことで、クローン病の特徴的な所見とされている。
スキップリージョン
病変の分布が非連続性で、病変と病変の間に正常の組織が存在する、クローン病に見られる特徴的な病変の所見。
生検
内視鏡で胃や腸を観察する際、検査のために粘膜の一部を採取すること。
線維化(センイカ)
組織が炎症で線維組織に変化すること。線維化した組織は修復されない(不可逆的)。線維化により腸管の狭窄は進行する。
穿孔(センコウ)
深い潰瘍で腸に孔があくこと。腸の消化液や内容物、細菌が漏れて穿孔性腹膜炎になると緊急手術が必要になる。
腸管合併症
クローン病が原因で、小腸大腸の腸管に起こる合併症。主に、癒着や狭窄、穿孔、ろう孔など。
腸管外合併症
クローン病が原因で、腸管以外に起こる症状。関節炎や結節性赤斑など皮膚病変、眼病変、肛門部病変などが多い。
抵抗性
ある薬剤を一定期間、適正な量で使用しても改善効果が見られないことで、難治性を示す言葉のひとつ。「ステロイド抵抗性」などという表現で使われる。
トップダウン治療
ステロイドや免疫調節薬などを含めた従来治療では十分な効果が見込めない場合に、緩徐な従来治療から徐々に強力な治療に移行する(ボトムアップ)のではなく、速やかに高い効果が期待できる治療を早期に導入すること。
ドレナージ
体内に溜まった膿、浸出液などを、体外に排出する処置のこと。ドレーンという管を体内から体外に向け留置する。
内ろう(ナイロウ)
ろう孔のうち、体表に通じるものを外ろう、他臓器に通じるものを内ろうと呼ぶ。
肉芽(ニクゲ)
クローン病にみられる炎症性の病巣で、組織球や類上皮細胞が限局性の結節を形成したもの。クローン病の場合は中央に壊死を伴わないことが特徴とされている。
膿瘍(ノウヨウ)
膿が溜まること。クローン病によりお腹に膿が溜まると腹腔内膿瘍という。
ハウストラ
大腸の節目。炎症があると消失することがある。
バルーン拡張
狭窄した腸管を内視鏡的に拡張すること。
瘢痕(ハンコン)
炎症が消失する過程で線維化してできた傷あとで、治癒するにつれて収縮し、時にひきつれを起こす。管腔内臓器である腸では瘢痕化により狭窄が生じることがある。
びらん
皮膚や粘膜層において、炎症により上皮組織が浅く欠損すること。
癒着(ユチャク)
炎症により、隣接する臓器や腹壁が互いに固くひっついてしまうこと。
ろう孔(ロウコウ)
腸管と腸管や、腸管と膀胱や皮膚など、本来あるべきでない所にできた穴。