大腸がん(大腸の主な病気と症状) 大腸がん(大腸の主な病気と症状)

大腸がんとは

大腸は消化吸収が行われた食べ物の最終処理をする消化管で、主に水分を吸収します。この部位に悪性腫瘍が発生した場合に大腸がんと呼びます。
大腸がんは、食事の欧米化、とくに動物性脂肪や蛋白質の過剰摂取などにより、日本でも近年急速に増えていて、胃がんを追い抜くのは時間の問題といわれています。日本人では直腸とS状結腸に多く発生します。若年者の大腸がんでは遺伝的な素因もあるようです。

大腸がんの原因

大腸がんの発生原因はまだわかっていませんが、疫学を中心とした研究から、大腸がんの発生は欧米食の特徴である高脂肪、高蛋白かつ低繊成分の食事と正の相関関係にあり、生活様式が強く関係していることが明らかになっています。また、大腸がんは腺腫(一般的な大腸ポリープ)からがんが発生するものと、腺腫を介さず直接粘膜からがんが発生するものが考えられています。
遺伝学的解析では、多くの遺伝子の異常の蓄積によりがんが発生することがわかっています。まずAPC遺伝子の変異により腺腫が形成され、ついでK-ras遺伝子の突然変異により腺腫が大きくなり畏型度(細胞の悪性度)が増します。それにがん抑制遺伝子のp53遺伝子とDCC遺伝子の変異が加わって、がんへ進むとされています。
また、遺伝的要因の明らかなものには家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)と遺伝性非ポリポーシス大腸がんがあります。

大腸がんの症状の現れ方

早期の大腸がんではほとんど自覚症状はなく、大腸がん検診や人間ドックなどの便潜血検査で見つかることがほとんどです。進行した大腸がんでは、腫瘍の大きさや存在部位で症状が違ってきます。
右側大腸がんでは、管腔が広くかつ内容物が液状のために症状が出にくく、症状があっても軽い腹痛や腹部の違和感などです。かなり大きくなってから腹部のしこりとして触れたり、原因不明の貧血の検査で発見されたりすることもあります。
左側大腸がんでは、比較的早期から便に血が混ざっていたり、血の塊が出たりする症状がみられます。管腔が狭く内容物も固まっているため、通過障害による腹痛、便が細くなる、残便感、便秘と下痢を繰り返すなどの症状が現れ、放っておけば完全に管腔がふさがって便もガスも出なくなり、腸閉塞と呼ばれる状態になります。
直腸がんでは左側大腸がんとほとんど同様の症状がみられますが、肛門に近いために痔と間違えられるような出血があり、痔と思われて放置されることもあります。また、直腸がんでは近接している膀胱や子宮に浸潤すると、排尿障害や血尿、膣から便が出たりするなどの症状がみられることもあります。

病気に気づいたらどうする

大腸がんは早期に発見できれば、そのほとんどが内視鏡的に、または外科的に根治可能な病気です。早期大腸がんの5年生存率は80%と極めてよく、進行がんでもがんの侵潤の程度とリンパ節転移の程度により予後が変わってきます。また、大腸がんは肝臓にいちばん転移しやすいのですが、肝臓に転移が見つかっても、肝臓を手術したり抗がん薬を注入したりして長期に生存することも可能です。
40歳を過ぎたら、症状がないうちに大腸がんの検診を受けるようにします。また、血便や便通異常などの症状がみられたら、すぐに専門医で検査を受けるようにします。

大腸の主な病気