専門医へのインタビュー 専門医へのインタビュー 大腸がん


腸に関する病気やその治療法や検査法について、専門の先生にお伺いしました。
斎藤 豊 先生
斎藤 豊 先生
国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 内視鏡センター長、内視鏡科 科長

■ 専門分野:
消化器内視鏡診断・治療。特に大腸早期がんの拡大診断・ESD 治療

大腸がんは増えているのですか?

わが国の大腸がんの患者数は、1970年代後半から増え続けていて、最新の予測では、2014年には男女合計で13万人に迫ると考えられています。がん患者全体に占める割合も高く、地域がん登録全国推計によるがん罹患データによると、2011年には男性では胃がん、前立腺がん、肺がんに次いで第4位、女性では乳がんに次いで第2位になっています。

大腸がんと遺伝は関係ありますか?

すべての大腸がんが遺伝と関係するわけではありませんが、直系の親族に患者がいる場合に罹る危険度が高まるという特徴があります。また、遺伝子の先天性異常が関係するものとして、他の臓器のがんを併発するなどの特徴をもつ遺伝性非ポリポーシス大腸がん(リンチ症候群)、大腸全体に極めて多くのポリープが生じる家族性大腸腺腫症などが知られています。

ピロリ菌がいないと大腸がんになりにくいのですか?

胃がんの原因として有名なピロリ菌は、複数の抗菌剤を服用することで除菌できます。最近、これをヒントに潰瘍性大腸炎を悪化させる腸内細菌を除き、症状を軽減させる治療法が行われるようになりました。ピロリ菌そのものは大腸がんには直接関係しませんが、潰瘍性大腸炎はがん化しやすいことからこの方法が注目されています。

胃が弱い人は大腸がんにもなりやすいのですか?

胃や腸などの消化管は、もともとストレスの影響を受けやすい臓器と言われています。胃の症状で悩んでいる方には、精神的要因が引き金となることが少なくないと思われ、がんの発生にはストレスによる免疫力の低下が関与するという指摘もあります。明確なエビデンスはありませんが、まったく関係しないとはいえないかもしれません。

大腸がんの増加には欧米型の食生活が影響しているのですか?

日本人に大腸がんが増えている原因の一つに、たんぱく質や脂質を摂ることが多くなった食生活の変化が指摘されています。かつて米国の日系移民には日本人に比べて大腸がんの人が多いとされていましたが、最近ではその差はなくなりつつあります。大腸がんの発症には、食事のあり方が関係すると考えられます。

赤身のお肉を好んで食べる人は大腸がんになりやすいのですか?

最近、世界保健機関(WHO)の外部組織の国際がん研究機関(IARC)より発表もあったように、牛、豚、羊などの赤身をたくさん食べる人ほど大腸がんになりやすいことがわかっていて、海外では注意が促されています。また、ベーコン、ハム、ソーセージなどの加工肉も発症に関係する可能性が高いとされています。日本人がこれらを食べる量は欧米人に比べて少ないとはいえ、摂りすぎには注意したいものです。

お酒を飲む人は大腸がんになるリスクが高いのですか?

これまでの研究から、飲酒は大腸がんの明らかな危険因子とされています。国内での調査では、一日当たりの飲酒量が多い人ほど、お酒をまったく飲まない人に比べて大腸がんの発症リスクが高まることがわかりました。男女ともに、一日のアルコール摂取量が15g増えるごとにその危険度は10%増すと考えられています。

お酒を飲まなければ大腸がんになるリスクは低いのですか?

確かに、アルコールは大腸がんになる危険を高めますが、大腸がんのリスクはそれだけではありません。また、お酒の種類別にみてそれぞれ、ビール大瓶1本、日本酒1合、焼酎120ml、ワイン200ml、ウイスキー60ml以内の飲酒量であれば、危険度は目に見えて高まらないこともわかっています。

たばこや塩分は大腸がんの発生に影響するのですか?

日本人を対象とした研究では、たばこを吸う人や吸っていたことのある人は、そうでない人と比べて大腸がんになりやすいとされています。また、塩魚や魚卵の摂りすぎがリスクを上げるとする報告もあります。喫煙や塩分の摂りすぎは、他のがんや心臓病などにつながりやすくなりますから、いずれにせよ注意したいものです。

ヨーグルトは大腸がん予防に効果があるのですか?

大腸がんの予防を食事面からみると、にんにく、牛乳、カルシウムが確実な効果を持つと指摘されています。乳製品であるヨーグルトはカルシウムが豊富で、腸内細菌のうちの悪玉菌の増殖を抑える、がん細胞を攻撃するNK細胞を活性化するなどの働きが報告されていますから、食生活に採り入れてよい食品と思われます。

大腸がんの予防に効果的な食生活はあるのですか?

先にあげた食品のほかに、葉酸、ビタミンD、野菜、果物、魚などに大腸がんの予防効果がある可能性が指摘されています。ただ、何をどれだけ食べればよいということではなく、肉食に偏ってしまう、逆に十分な栄養が摂れていないなどの不都合が起こらないように、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

大腸を元気にするサプリメントはあるのですか?

最近、腸内細菌の多様性に注目した腸内菌叢の話題が注目され、菌のバランスを直接整えるプロバイオティクス、その働きを助けるプレバイオティクスなどがサプリメントとして多く市販されています。効果の優劣は一概に言えませんが、サプリメントに頼るより、むしろ毎日のバランス良い食生活の中で必要な栄養素を摂取するよう心がけることが大切です。

サプリメントは必要以上に摂りすぎないことと、身体に不調が現われた場合には中止することが大切です。

おならや便の回数や臭いで、病気がわかることはあるのですか?

おならでは、腐敗臭が強い場合には肉を摂りすぎているなど食事内容が関係していることがありますので生活を見直してみてください。排便では、下痢が続く、便が出にくく細い、頻繁に便意がある、出血するなどふだんとは違う状態が続くようならば大腸の病気が疑われます。早めの受診をお奨めします。

大腸がんと運動や睡眠、ストレスとの関係はあるのですか?

海外の研究からは、身体を動かす習慣は大腸がんのリスクを確実に下げることが明らかにされています。国内での研究をまとめた結果からもこれは裏付けられており、運動は大腸がん予防のための最善の方法といえます。適度な運動はより良い睡眠やストレスの解消にもつながりますから、ぜひ実行しましょう。

下痢や便秘になりやすい人は大腸がんになりやすいのですか?

下痢や便秘が大腸がんに直接つながるとはいえません。ただ、大腸がんによってこうした症状がみられることはあります。気を付けたいのは、大腸がんは初期の場合には自覚症状が現われにくいという点です。個々の症状を気にするのではなく、定期的な検査を続けることこそが大切といえます。

大腸がんにならないために年齢や性別で気をつけなければならないことはあるのですか?

大腸がん患者さんは50歳ころから増加がみられ、年齢が進むにしたがってその数は増えていきます。男女比では男性の方が多いのですが、女性の場合はここ数年、がん死亡数の第1位を大腸がんが占めています。これは早期発見の遅れを示していると考えられ、中年以降の女性には積極的に検診を受けていただきたいものです。

若くして大腸がんになる人はいますか?

大腸がんは高齢者に多くみられますが、若くして発症する人がまったくいないわけではありません。なかでも、先に触れた家族性大腸腺腫症では10〜20歳代に、リンチ症候群も比較的早期に発がんします。遺伝的要因が疑われる方には、検査やその後の対応について専門家によるカウンセリングが奨められます。

痩せていたり太っていると大腸がんのリスクは高くなりますか?

国内で40〜59歳の男性約5万人を長期に追跡調査した結果、肥満度が高い人たちほど大腸がんのリスクは高まることがわかっています。この点からも運動や規則正しい食生活の大切さが理解できます。ただ、日本人の場合、非常に痩せた人は将来、がん全般に罹りやすいことも知られています。太りすぎも痩せすぎも、どちらも注意すべきでしょう。

大腸がんが見つかるのはどういうときが多いのでしょうか?

初期の大腸がんには症状がほとんどありませんが、やがて血便、下痢と便秘の反復、便が細くなる、残便感、腹痛のほか、貧血や体重減少などもみられ始めます。この段階で見つかる例が少なくないのですが、すでに進行してしまっている場合もあります。できるだけ早く見つけることが最大のポイントです。そのためには40歳以上になったら大腸がん検診で便潜血検査を毎年受けること、便潜血陽性に1回でもなった場合は精密検査の大腸内視鏡検査を受けることが重要です。

検診で大腸がんはみつかるのでしょうか?

現在、自覚症状がない人を対象に、便の中に血液が混じっていないかを調べる便潜血検査が検診法(対策型検診;区や市の検診)として普及しています。腸内に何らかの病変が存在すると出血する場合があることから、それを確認するために行う検査です。血液反応があれば精密検査(大腸内視鏡検査)へと進み、原因病変ががんであれば早期発見につながります。またさらに早期に発見するためには人間ドック(任意型検診;自費負担)などで大腸内視鏡検査を一度は受けることをおすすめします。

大腸の早期がんと進行がんはどう違うのでしょうか?

大腸がんの多くは、まず粘膜に生じ粘膜下層へ、さらにその先の筋層へと深まっていきます。がんが粘膜あるいは粘膜下層にとどまっている場合を早期がん、その先の筋組織にまで達した場合を進行がんと呼んでいます。大腸がんは他のがんと比べて治りやすいのが特徴で、進行がんであっても転移がない状態で発見し、適切に治療すれば根治が望めます。

お腹がぐるぐる音を立てることがあるのですが、病院に行った方がいいですか?

お腹が音を立てる腹鳴は、ガスや消化物が腸管内を通過する時に起こるもので、それ自体は健康な人にもよくみられます。しかし、お腹が強く張るような腹部膨満感が同時にみられる場合には腸の通過障害が疑われ、がんが関わっている場合も考えられます。こうした症状が長引くようならば受診が望ましいでしょう。

腹痛をおこすことがありますが胃腸薬等で治めています、この対処法で大丈夫でしょうか?

腹痛は、内臓の異常からストレスまで原因はさまざまです。病気が原因となる場合には、下腹部痛ならば腸の疾患も考えられます。大腸はそもそも痛みを感じにくい臓器ですが、内部に病変ができて幅が狭まると、内容物を通すために腸の運動が高まって腹痛が起こりやすくなります。薬で痛みを紛らわすのは賢明とは言えません。

便秘が続くようになったのですが、大丈夫でしょうか?

便秘は大腸の蠕動運動の低下なども原因となりますから、必ずしも病気によるものばかりではありません。ただ、大腸がん患者では便秘と下痢が交互に繰り返し起こるという便通異常が特徴の一つになっています。この症状は、S状結腸や直腸など肛門に近い大腸に生じたがんでよくみられます。

便が細くなってきたら要注意でしょうか?

排便が切れ切れに細くなるというのも、肛門近くに起こるがんでみられやすい症状です。特徴的な症状にはさらに、排便の直後にもかかわらず便がまだ残っているように感じるというものもあります。いずれもがんが進みつつあることを示していますから、こうした状態が続く場合には速やかに受診してください。

一度でも血便が出たら病院に行くべきでしょうか?

血便や下血といった出血も、直腸などに生じたがんの代表的な症状です。痔による出血との区別がつきにくい一面がありますが、発生部位が肛門に近いため、がんがそれほど進んでいない段階でもよくみられます。早期発見という意味から、また痔との鑑別を確実に行うためにも進んで医師の診察を受けましょう。

便が固いときに下血が起きることがあるのですが、問題ありますか?

便の排出後に下血が起こるような場合には、痔核や裂肛などが考えられます。注意したいのは便に血液が付着するように出てくる状態で、このような例では大腸からの出血が疑われます。いずれにせよ、日頃から便の性状や出血の有無、状態に注意することは大切といえます。

血便の血の色ですが、鮮やかな赤のときと黒っぽい赤のときがあると聞きました。どう違うのでしょうか?

血便は含まれる血液がどこで出血したかによって色が違ってきます。肛門近くで出血すると排便時に血液がまだ新鮮なため赤みのある便に、肛門より遠くで出血すると排便までに血液が変化するため赤黒い便になります。ちなみに胃や十二指腸から出血すると、便はタールのように黒くどろどろとした状態になります。

血便や下血がなければ大丈夫でしょうか?

大腸がんの症状は、発がんした場所によって異なります。出血症状は、大腸の左半分や肛門近くのがんでは便の色などから気づきやすい反面、がんが右半分にある場合には判断は難しくなります。出血量がごく微量なこともありますから、見た目に血便や下血がないからといってがんが否定できるわけではありません。

大腸がんになったら痛みはありますか?

大腸の内壁には痛みを感じる神経がありません。そのため、早期がんの段階では痛みを自覚しないのが通常で、がんが原因となる疼痛がみられた時はすでに大腸の最も外側にまでがんが到達していることが少なくありません。逆に言えば、痛みを感じる前に発見することが極めて重要です。

大腸がんになると貧血になると聞いたことがありますが、本当でしょうか?

貧血とは、赤血球が減少して身体への酸素の供給が不十分となる状態です。原因はさまざまですが、体内で出血が長く続くことで起こることもあります。大腸がんでは、病変からの出血が初期段階から持続するため、進行するにしたがって貧血が現われやすくなります。早期がんで貧血になることは稀です。

「大腸がんかも」と気になったときに受診するのは内科でいいですか?

身近では、消化器内科、消化器外科、大腸肛門科などを診ておられる診療所を訪ねるのが適切です。病院でも同様ですが、検査を担当する科が決まっている場合もありますので、窓口で相談してみてください。最近では、総合診療科を置く病院もありますから、まずはそこを受診するのも方法の一つです。

便以外で何か症状や兆候はあるのでしょうか?

便通異常や血便以外でも、持続する腹痛や腹部膨満感、貧血、体重減少など、大腸がんがみつかるきっかけとなる症状は少なくありません。しかし、重要なのは初期の大腸がんでは症状はほとんどみられないという点です。症状や兆候の出現以前に、早期発見を目的とした検診を重視するべきでしょう。

痔か大腸がんか、自分で見極めることはできますか?

排便後に拭き取った紙に血がついていたりすると驚くものですが、逆に痔を経験したことがある方などではそれほど重大なこととは思わないこともあるでしょう。しかし、出血が痔によるものか、他の病気によるものかの判断はそれほど簡単ではありません。ぜひ専門家の判断を仰ぐようにしてください。

痔と診断されても出血が続いたら別の病院に行った方がいいでしょうか?

問診、視診、触診、肛門鏡や最終的に全大腸内視鏡まで、検査が順序だてて適切に行われ、痔と診断されているならば安心してよいと思います。痔の出血は再発することが比較的多いとされていますから慌てることなく治療を続け、便通異常など他に気になる症状がみられた場合には、まず主治医への相談をおすすめします。

大腸がんを疑った場合、先生から言われなくても、内視鏡で診てくださいと言ってもいいのでしょうか?

便通異常や出血などの症状が明らかな場合、医師の側から内視鏡検査の必要はないと断言することははまずありません。検査方法を選択するのは患者さんご自身ですから、自覚されている症状を医師に正確に伝え、相談をしながらご自身のお考えを伝えてください。ただし消化器内科や内視鏡科などの専門家以外ではいまだ大腸内視鏡検査は大変な検査で、よほどのことが無い限りオーダーしないといった場合もあります。そのような場合は、ご自分から希望を言っても良いでしょう。

大腸の内視鏡は肛門から入れるのでしょうか?

先端に光源とカメラレンズなどがついた管を肛門から入れ、大腸が始まるところ(回盲部)まで届かせます。それを引き抜きながらカメラが撮影した画像をモニターに映し出し、1.5mほどの大腸の内部をくまなく観察します。病変がみつかると、その部分から組織を採取したり、病変全体を切除して悪性か良性かを確かめる病理診断なども行えます。

恥ずかしいのでできれば受けたくないのですが、受けないといけないのでしょうか?

全大腸内視鏡検査は、がんが疑われる病変の有無を目視しながら確認できるため、大腸がんの精密検査として第一に選択すべき方法とされています。大腸がんは、発生した場所によっては症状などだけからは判断できない場合があります。病変そのものを発見するためには欠かせない検査とご理解ください。また穴あきの専用パンツをはいて検査を受けることができますし、多くの患者さんが受けている検査ですので、恥ずかしいといったことは心配されないで下さい。

誰でも受けられるものでしょうか?

大腸がん検診で最初の便潜血検査が陽性となった方は保険が適応されます。そのほか、便通異常や血便などの症状がある場合も、診断や治療に大腸内視鏡を用いる場合には保険が適応されます。ただ、便潜血検査で異常はなく、症状もみられていない場合には、自費診療となることがあります。

いくらくらいかかるのでしょうか?

投薬、病理診断、処置の有無などによって違いがあります。保険3割負担の方ならば、何も異常がなければ5,000〜7,000円、組織の採取を行うと10,000〜12,000円がおおよその目安といえます。このほか、ポリープや明らかにがんとわかる病変をその場で切除する場合もあり、それぞれ保険に基づいた費用が加わります。

受けたことがある人から「痛かった」と言われたことがあるのですが、本当でしょうか?

大腸には構造上の関係から、不安定に動きやすい部分があります。そこに内視鏡の先端やシャフトが触れた状態で挿入を続けると腸管が引き伸ばされ、これが痛みの原因になります。もっとも最近は、そうした部分で腸管との接触を避ける挿入法が開発されるなどの対策も進み、以前に比べて苦痛はかなり軽減されつつあります。また大腸内視鏡になれていない医師が行うと大変苦痛のある検査となる場合があります。検査件数の多い上手な医師にかかるのも楽な検査を受けるのに重要です。手術後で癒着がある場合は、ベテランが検査しても痛みを伴う場合がありますがそのような場合は、麻酔を注射して、検査を行うことも可能です。

いきなり病院に行って受けられるものでしょうか?

消化管の内視鏡検査は、受ける方の体内の条件や環境を整えておくためにさまざまな前処置が必要です。通常、受診をしていきなり検査はできませんので、事前に検査日を予約し、十分に準備をして臨むようにしてください。またいきなり病院ではなく、内視鏡検査を得意とするクリニックの先生に相談するのが良いでしょう。治療が必要な場合は、小さい病変ならクリニックでもその場で治療可能なことが多いですし、入院治療が必要な場合は大学病院や、がんセンターなど専門病院を紹介してもらうことが可能です。

前の日に準備することはどんなことでしょうか?

内視鏡検査を行うためには、大腸内部をきれいにしておく必要があります。一般に、前日の夕食までは消化の良いものであれば、ふつうに食べても構いませんが、食事内容が指定されることもあります。特に便秘気味の方は食事制限が必要となります。就寝前には下剤を服用しますが、これも当日服用となる場合があります。方法は施設によって異なりますので、その手順にしたがってください。

当日に準備することはどういうことでしょうか??

検査が終わるまでは絶食となります。検査前には2リットル程度の腸洗浄液を飲むほか、腸内の洗浄が十分でない場合には下剤の追加投与などが行われ、直前には痛み止めや緊張をとる薬が使われることもあります。いずれも検査を滞りなく進めるために必要な処置と理解してください。

麻酔はするのでしょうか?

検査前に麻酔を使えば苦痛を感じることもなく合理的に思えますが、内視鏡医の腕が未熟な場合に強い麻酔をかけると、たとえば内視鏡で大腸が傷を受けた時にご本人が自覚できないなど、事故につながりかねません。
麻酔を使用するかしないかは、病院や検査医によって多少異なります。麻酔なしでも、上手な内視鏡医が検査をすれば全く痛みがない患者さんも多いですし、癒着のある方は、ベテラン内視鏡医でも麻酔を使用することがあります。最近は、患者さんの希望があれば、鎮静剤を静脈から投与して、検査対象者を浅い眠りに導く方法を使用することも可能です。事前に良く相談してみて下さい。

検査にはどれくらい時間がかかるのでしょうか?

内視鏡を入れ始めてから20分程度で終了するのがふつうです。もっとも、対象者の状態によって、挿入を慎重に行う必要がある、病変の組織を採る、病変そのものを切除するなど対応に差が生じますので検査にかかる時間はさまざまと考えてください。

検査にはリスクはないのでしょうか?

大腸内視鏡検査も他の医療行為と同様に100%安全ということは言えず、頻度は非常に低いもののいくつかの偶発症が起こる可能性はあります。重篤なものとしては腸壁や血管を傷つけることによる出血、腸管に穴が開く穿孔などが知られていますが、観察だけでそのような偶発症が起こることは稀です。ポリープや早期がんを治療する際に、そのような出血や穿孔といった合併症が起こる可能性はありますが、技術と機械の進歩で、偶発症のリスクはかなり少なくなってきています。
検査を受けている途中で違和感や痛みが生じた時には、躊躇せずただちに医師に伝えてください。
ポリープを切除した場合は、治療後7〜10日間は出血などの危険性があるため、その間は、旅行、スポーツ、お酒の摂取などは控えるようにして下さい。またポリープを切除するかどうかは、検査を受けてみるまでわからないことが多いので、検査前に医師に確認しておくと良いでしょう。

狭くて入らない、痛みがひどいなどということはあるのでしょうか?

内視鏡は、病変の発見精度の高さや検査と治療までが行える利点、さらに挿入の技術が向上したこともあって、大腸がん検査の主流になりました。しかし、挿入が極めて困難な事例はあり、たとえば過去に開腹手術や婦人科手術を経験した方で大腸に癒着がある場合などでは、内視鏡を通過させることが難しくなる場合があります。そのような場合には細径や柔らかい内視鏡を使用します。それでも検査が完遂できないような場合には、大腸カプセル内視鏡や、CTコロノグラフィーの適応となります。

何か見つかったときはどうなるのでしょうか?

内視鏡の大きなメリットの一つが、器具を使って病変から組織を採取できる、あるいはその場で病変自体を切除できる点です。切除法にはポリープを取り除くポリペクトミー、早期がんと思われる病変を粘膜下層ごと切り取る内視鏡的粘膜切除術(EMR)、2cm以上の表面型早期癌でEMRにて対応できない場合に適応となる内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)(入院が必要)があります。こうした技術によって検査、診断、治療が同時に可能となっています。

ポリープをとるときは痛くないのでしょうか?

ポリペクトミーは、粘膜上から盛り上がった組織を、内視鏡を通じて送り込んだ輪で縛るように確保し、電気を通して焼切る方法です。ポリープは多くは良性ですが、成長するとがん化するものがあるため早めに切り取ってしまうことが得策です。なお、大腸粘膜には痛みを感じる神経はないため、通常痛くありません。痛みがある場合はスネアが筋層を巻き込んでいる可能性があり、穿孔のリスクとなりますので、内視鏡医にしっかり伝えて下さい。

何もなければもう検診を受けなくてもいいのでしょうか。

検査編でも触れた点ですが、どんなに優れた検査法でもがんを100%みつけることは困難です。またそのときに何もなくても年齢を重ねることで、新たにポリープや癌が発生する危険が高まります。検査の結果、何も異常がなくても大腸がん検診は受け続けていただきたいと思います。大腸がんは進行が通常、比較的遅いがんですので、隠れていた病変が検診を受けるうちに明らかになることも考えられます。

前の日に準備することはどんなことでしょうか?

従来の大腸内視鏡検査と同様に、大腸の内部をきれいにしておく必要があります。食事は消化のよいものを摂り、食後に下剤を服用します。食事内容や下剤の飲み方など細かい点については、検査を行う施設の手順にしたがってください。

当日に準備することはどういうことでしょうか?

カプセル内視鏡は、内蔵カメラが撮影した画像情報を体外の記録装置に転送する仕組みになっています。そのため、情報を受け取るセンサを上半身に貼りつけるなどの処置をしますので、上下が分かれたゆったりした服装を選んでください。検査前は絶食となります。

麻酔はするのでしょうか?

従来の内視鏡ではほとんどの場合痛みはありませんが、腸管をたたむことができずに、引き伸ばす必要がある場合に痛みを引き起こす場合があります。カプセル内視鏡では腸を伸ばす心配はないため、麻酔や鎮静剤の必要はありません。腸洗浄液を服用して記録装置やセンサーを装着し、カプセルを水で飲み込んだ後は、腸洗浄液や腸管の運動を促す薬を服用しながらカプセルを円滑に移動させ、肛門から出てくるのを待ちます。

検査にはどれくらい時間がかかるのでしょうか?

カプセルが排出された時点、あるいは内視鏡内の撮影用バッテリーが切れた時点で検査は終了です。排出までの時間は年齢などによって異なりますがおおよそ4~6時間、バッテリーが切れるまでは約10時間かかります。検査の結果は後日、ご本人にお伝えします。

検査にはリスクはないのでしょうか?

痛みが出ることはなく、通常、痛みを伴うことは有りません。またCTで腸の様子を調べる方法もありますが、CTとは違ってカプセル内視鏡では放射線被ばくの危険がなくなります。検査リスクとしては、きわめて稀ですが、カプセルが消化管内に留まってしまう可能性などがあげられます。

飲んだカプセルは最終的にどうなるのでしょうか?

撮影したデータは記録装置に転送されていますので、カプセルはそのまま使い捨てになります。ただ、回収と破棄は自治体や施設のルールにしたがって行う必要があります。詳細は、検査時に配布されるカプセル回収キットに記載されています。

途中で詰まったり、出てこないことはあるのでしょうか?

国内で行われた治験の結果からは、カプセルが消化管の途中で詰まり長期にわたり動かなくなった例はみられていません。一定時間内にカプセルが排出されない場合がありますが、繊維質が豊富な固形食を摂ることで解消できています。万一カプセルが途中で詰まってしまった場合は内視鏡などでカプセルを回収したり、外科手術が必要になる場合がありますが、そういった頻度はきわめて稀です。

何か見つかったときはどうなるのでしょうか?

大腸カプセル内視鏡には、従来の方法のように組織を採取する、病変を切除するといった機能はなく、診断の確定や治療には大腸内視鏡検査が必要です。最近は技術が進歩していますので、専門の技術がしっかりした内視鏡医が行えば、安全に、楽に検査が可能な時代となっていますのでご安心下さい。

何もなければもう検診を受けなくてもいいのでしょうか?

何もなくても検診は年に1回は受けるのが理想です。わが国では一次検査、精密検査とも受診率は思わしくなく、背景にはこれまでの検査法への不安があると思われます。こうした問題を解決し、大腸がん検診をより広めていくことが重要で、大腸カプセル内視鏡はそのきっかけの一つになるかもしれません。

大腸がんだと言われました。セカンドオピニオンを主張してもいいのでしょうか?

診断と治療に関する意見を、担当医以外の医師に求めるセカンドオピニオンは患者の権利です。ただ、それには診療のための情報を幅広く知るためという目的があります。まずは、担当医の見解を十分に聞き、別の医師の意見を担当医に正確に伝え、ともに今後の治療方針を考えていくという姿勢が前提になると思われます。なんでもかんでもセカンドオピニオンというわけではなく、担当医の説明に疑問がある場合、質問をしても十分納得がいかない時に、セカンドオピニオンか必要かと考えます。

すぐに治療しないといけないのでしょうか?

大腸がんは、他のがんに比べて悪性度が低く、切除などの治療も行いやすいため治しやすいがんと言われています。ところが、国内で年間にがんで亡くなる方の数をみると、すべてのがんの中で男性では第3位、女性では第1位となっています。検診率の低さがその大きな理由と思われます。速やかな治療が重要ですが、数週間や数ヶ月で急に進行することはまずありませんのであまり焦る必要はありません。

大腸がんにも種類があるのでしょうか?

大腸がんは腸壁の最も内側にある粘膜に生じ、長い大腸のどの場所でも起こり得ます。日本人では肛門に近いS状結腸と直腸に発がんする例が多く、両者で大腸がん全体の半分以上を占めていますが、最近は右半結腸(奥のほう)にできる癌の割合も増えてきています。
発生の仕方には、良性のポリープががん化するものと、粘膜上に直接がんが生じるもの(デノボ癌)、潰瘍性大腸炎などから癌化する(炎症発がん)と大きく3つの種類があるとされています。また最近はSerrated pathwayといってSSA/Pといった鋸歯(きょし)状病変(過形成性ポリープの一種)からの癌化ルートもあることがわかってきました。解明されていない点も多いですが、右半結腸に1cmを超えるような鋸歯状病変がある方は、注意が必要です。

どんな治療方法があるのでしょうか?

大腸がんの治療法は、さまざまな局面に対応できるよう進歩しています。具体的には、ステージの軽い順に、ごく初期の癌であれば、内視鏡を用いてがんを切り取る内視鏡治療、粘膜下層への浸潤が診断される場合は、お腹に開けた小さな穴から器具を入れて行う腹腔鏡下手術、さらに深くなると、お腹を開いてがんとその周囲の腸管などを切除する開腹手術、また多臓器に転移が疑われる場合は、抗がん剤を用いた薬物治療や放射線でがん細胞を死滅させる放射線治療となります。

人によって受けられる治療と受けられない治療があるのでしょうか?

治療法はがんがどこまで進行しているかという病期によって決まります。がんが粘膜にとどまっている段階ならば内視鏡治療が、それ以上の層まで達している、あるいはリンパ節への転移が認められる段階ならば手術治療が、他の臓器への転移が明らかな段階ならば手術のほかに薬物治療や放射線治療がそれぞれ行われています。

治療方法は患者が選べるのでしょうか?

患者さんにしてみれば、できるだけ簡便な方法をと願うのはもっともな思いでしょう。しかし、がんの病期によっては方法が限られてくるのが事実ですし、医師の側に高い技術が求められ誰でもすぐに行えるわけではない治療法もあります。医師の説明をしっかりと聞き、十分な相談のもとに適切な選択をするのが重要です。またESDや腹腔鏡手術など高度な技術を要する治療法では、病院や医師によって得意・不得意がある場合もありますので、担当医に相談することも必要です。

手術をするのはどういうときでしょうか?

病期でいえば、がんが大腸壁の粘膜下層の深くから筋肉層に達している、あるいはそれ以上にまで及んでいる例、さらにがんの深さに関係なく腸の外にあるリンパ節に転移している例が手術の適応となります。がんができている部分だけでなく、リンパ節などにがんが転移している可能性があるため、その前後の腸管を含めて切除します。

内視鏡でできる手術について教えてください。

大腸内視鏡の先端から器具を出してがんを切除する方法です。病変がポリープ様ならば金属製の輪をかけて電流で焼き切り、平坦ならばその下に生理食塩水を注入して持ち上げて同様に焼き切ります。がんが粘膜内あるいは粘膜下層浅くにとどまっていること、さらに1回で採りきれる大きさであることが実施の条件になります。以前はスネアの大きさの制限から2cm程度までが限界でしたが、ESDといって電気メスで癌をくり抜く方法が開発され2cm以上でも癌が粘膜内に留まっていれば、内視鏡で治療できる時代となっています。

腹腔鏡と開腹手術のメリット・デメリットを教えてください。

腹腔鏡下手術は、お腹に開けた数か所の小さな穴からカメラ(腹腔鏡)と手術器具を入れて、開腹手術と同じ処置を行います。傷が小さいことから術後、腸閉塞などの合併症が起こりにくい、回復が速いなどの利点があります。一方、開腹手術は腹腔鏡下手術に比べて患部を目や手で確認できるほか複雑な手技が可能で、手術時間も短くできます。それぞれに長所・短所がありますが、基本的には病期や病変の場所によって推奨される治療法は決まってきます。また外科医・病院によっては得意・不得意といったこともありますので、主治医としっかり相談下さい。

手術のときにリンパ節をとることがあると聞いたことがあります。 とっても大丈夫なのでしょうか?

大腸がんの手術では、腸管をある程度長めに切除するとともに、腸の外部にあってがんが転移する可能性があるリンパ節を取り除く(リンパ節郭清)ことが基本です。そうすることで、再発の危険性を低下させることが目的です。他のがんの手術ではリンパ節をとると浮腫などを起こすことがありますが大腸がん手術ではみられず、切除したリンパ節の数が多いほど再発や転移が少ないこともわかっています。

手術の前にはどんな検査をするのでしょうか?

大腸内視鏡検査でがんが診断される、あるいは採取した組織ががんであった場合、注腸造影検査やCTコロノグラフィーでがんの正確な位置と腸管への深まりぐあいを調べ、腫瘍マーカー検査や腹部CTなどの画像検査で転移の有無を確認します。こうした検査を通じてがんの病期を知ることができ、患者さんにとって最も望ましい治療方針の決定へとつながります。

手術は何時間くらいかかるのでしょうか?

手術時間は、がんができている場所や病期によって異なりますが、開腹手術て2~3時間というのが一般的です。腹腔鏡下手術ではもう少し幅があり、なかでも直腸のがんを手術する場合にはやや長くなる傾向があります。

治療方法はドクターによって異なるのでしょうか?

大腸がんの治療は、医師によってというよりも病期や部位によって決まるのが基本です。ただ、たとえばESDや腹腔鏡下手術などは難易度が高く、医師の経験や技術を考慮して行われなけれはなりません。また、抗がん剤を用いた治療なども、医師の日々の研鑽や、抗がん剤の開発によって新たな手法が生まれやすい領域といえます。

抗がん剤治療はどういう副作用がありますか?

大腸がんの抗がん剤治療は、手術治療と組み合わせたり、再発がんや進行がんで手術が困難な 例に単独で行われたりします。副作用には、痺れ、下痢、吐き気、嘔吐、脱毛、貧血などのほか、手足の指や爪に皮膚障害がみられることがあります。最近は、こうした症状への対処法も進歩してきており、患者利益の追求が目指されています。副作用症状をいかに少なくするかが医者の腕の見せ所ですので、副作用を我慢するのではなく、しっかり主治医に相談下さい。

手術をするときの費用や入院期間を教えてください。

手術の費用は、自己負担の上限を決めそれを超える分を税金で賄う高額療養制度を用いると、一般的な所得で健康保険3割負担の方ならは10万円程度です。入院期間は、施設によって異なります。腹腔鏡下手術で1〜2週間、開腹手術ではその倍くらいが目安で、最近はその期間が短くなる傾向にあります。

後遺症や合併症はあるのでしょうか?

大腸がんの術後に起こる症状としては、一般に下痢、ガスが出にくい、便秘などがみられることがあります。直腸がんの手術では、近くにある排便や排尿、性機能などに関係する神経が傷つく可能性があり、術後にこうした機能に障害が残る場合があるほか、肛門近くにがんがある場合には人工肛門を造ることもあります。事前に主治医の外科の先生に詳しく説明してもらいましょう。

人工肛門をつけるのはどういうときですか?

直腸がんの手術は、患部が肛門からある程度離れていれば肛門の機能を維持する方法がとられますが、肛門に極めて近い例では機能を残さない方法も行われ、その場合には便の排出口として人工肛門(ストーマ)を設置します。もっとも、手術技術は進歩していてこの処置を回避できる例も増えてきています。また一次的にストーマを設置し、後から、閉鎖する場合もあります。また患者さんの状態によっては人工肛門を増設したほうが、術後の生活の質(QOL)が保たれる場合もありますので術前に十分に主治医と相談することが重要です。例として、人工肛門は回避できたものの、1日に何回もトイレに行かなくてはならないといった症状が出ることがあり、人工肛門を増設したほうが良いこともあります。

治療の途中で病院を変えることはできますか?

患者さんが治療に疑問を感じることは少なくありませんし、より効果的な治療をという思いは当然です。大腸がんにはさまざまな治療法がありますが一つひとつは病期に応じていて、その進め方も一様ではありません。治療中に転院を考える場合には、ご家族や周囲の方ともよく相談してください。

手術の代替治療で大腸がんに効果が高いのはどういう方法でしょうか?

他臓器への転移が明らかな場合には、抗がん剤などの治療が選択されます。近年、がん治療に対する補完代替療法への関心が高まっていて、大腸がん領域では、乳酸菌などのプロバイオティクスに抗がん剤治療時の下痢の軽減効果が知られています。ただ、明らかな科学的根拠が得られている療法はまだ存在しないのが現状です。

手術をした後も仕事は続けられますか?

大腸に限らず、がんの手術後にはさまざまな生活上の不都合が起こりがちです。しかし、そうした中で療養を続けながら、お仕事を続けている方は数多くおられます。治療費や就労などに不安がある場合には、全国に400施設以上あるがん診療連携拠点病院の相談支援センターに相談することもできますので活用してください。

転移する可能性はありますか?

転移とは、がんが発生した場所からがん細胞が血液やリンパ液に乗って他の臓器などに移動して増殖する状態をいいます。大腸がんの手術治療では、大腸をがんの前後で切り取り周囲のリンパ節も切除しますが、それまでにわずかながん細胞がすでに移動していることがあります。進行した大腸がんでは、肝臓、肺への転移が多くみられます。

再発することはあるのでしょうか?

手術や薬物療法などで切除または縮小させたがんが、再び目に見えるようになった状態を再発と呼び、元のがんの近くに起こるもののほか、転移した臓器でがん細胞が増える場合もこれに含まれます。国内の調査では、大腸がんの再発率は平均17%、進行度が高いがんでは30%に達するとされています。一方早期がんでは再発することは稀です。

再発しないようにする予防などはあるのでしょうか?

目に見えないがん細胞を、抗がん剤を使って叩く術後補助化学療法という方法があります。リンパ節に転移がみられた例、あるいはがんが大腸壁の筋肉層の外側まで達したもののうち再発の危険性が高い例が対象となります。後者に当てはまる患者さんでは、この化学療法によって再発率が明らかに低下することがわかっています。また再発しても早期に診断できれば再度治療することも可能ですので、しっかり主治医の指示に従い通院することが重要です。

手術した後は、どんなことに注意しないといけないのでしょうか?

腹腔鏡下手術の場合は、術後は比較的早く日常生活に復帰できます。開腹手術を行った場合でも食事制限などは特にありませんが、しばらくは腸の働きが低下していますので消化のよくない食品や食べ過ぎに注意しましょう。また、軽い運動は腸の運動を高めて好都合ですが、筋肉を強く動かすような激しい運動は控えてください。

お酒を飲んだり、たばこを吸うことはできますか?

過度の飲酒は大腸がんの発症リスクを高めることが知られています。お酒を止める必要はありませんが、やや少なめに控えておくという習慣を身につけてください。たばこは、大腸がんに限らずがんの大きな要因となりますので、ぜひ禁煙をお願いします。

検査はどれくらいの間隔で受ければいいのでしょうか?

再発が起こっても、早めに発見できれば再手術や抗がん剤による治療などの手が打てます。大腸がんの手術後に再発した人のうち、80%は3年以内、95%は5年以内にみられていますから、少なくとも術後5年間は、腫瘍マーカー、CT、大腸内視鏡、直腸指診などによる定期検査を医師の指示にしたがって受けるようにしてください。

家族や職場の人に病気について理解してもらうために伝えておくべきことはありますか?

手術などの治療が終わり退院の時期を迎えると、管理栄養士による食事指導ほか日常生活に関する注意事項の説明を受けることがあります。そうした機会にはご家族に同席していただくとお互いの理解が深まります。また、抗がん剤治療を受ける場合には、副作用の可能性があることなどを職場に伝えておくとよいでしょう。