虫垂炎(大腸の主な病気と症状) 虫垂炎(大腸の主な病気と症状)

虫垂炎とは、虫垂に可能性の炎症がおこる病気です。虫垂は、盲腸(右下腹部の小腸から大腸につながった下の部分)の先に突き出た5〜10cmほどの先端が閉じた突起物で、長さ6〜8cm、太さは鉛筆程度です。虫垂は、リンパ組織が集まっているため、免疫に関与するともいわれていますが、少なくとも成人では不要と考えられている臓器です。
虫垂炎は、一般には「盲腸」あるいは「盲腸炎」という通称で知られていますが、これは昔、虫垂炎の発見が遅れ、炎症が盲腸まで広がった状態で発見されたケースが多かったためです。急に激しい腹痛を訴え、外科的な治療を必要とする病気を総称して「急性腹症」といいますが、虫垂炎はそのなかでも最も頻度の高いもので、15人に1人が一生に一度この病気にかかるといわれます。虫垂炎の発症のピークは10〜20代ですが、小児や高齢者も含めてどの年齢層でもみられます。男女差はありません。
虫垂炎は適切に治療されれば予後のよい病気ですが、治療しないまま放置しておくと、虫垂は破裂し、細菌を含んだ腸の内容物が腹腔内に漏出して膿瘍(感染によるうみがたまったもの)を形成したり、腹膜炎を起こして命取りになることもあります。また、細菌が血流に乗って全身に広がると敗血症(菌血症、敗血症、敗血症性ショック)になり、命を脅かすこともあります。実際、かつては死亡率が60%以上もある恐ろしい病気と考えられていました。

大腸の主な病気